はじめまして、名越凜です。
このブログは、四季折々にある日本の行事や日々の生活を愉しむコツをご紹介していきます。
私は、四季の行事など全く興味がありませんでした。結婚して、子供の成長と共に色々なことを経験するたびに自分が何も知らないことを実感しました。このままでは、どれが正解なのかわからない。子供にきちんと教えることも出来ない。親として情けないと思い、少しずつ勉強を始めました。私が知らなかったように、もし知りたいと思っている人のきっかけになればいいなと思います。四季折々の日本の行事を愉しみましょう。
今回は、『夏越の祓』についてです。
6月30日には、『夏越の祓』という神事があります。 夏越の祓は、(なごしのはらえ)と読みます。
『夏越の祓』は、今年の前半の穢れを祓い、清めてこれからの半年間の無病息災を願う神事のことで、 茅の輪をくぐり、人形に穢れを吹きかけ、穢れを祓います。
由来や簡単な作法などをご紹介していますので、目次を見て興味のある内容から読み進めて頂けると嬉しいです。
『夏越の祓』とは?
『夏越の祓い』は、「大祓(おおはらい)」と呼ばれる罪・けがれをはらい清める、宮中や神社で行う神事のうちの1つで、6月と12月の末日に行われます。
1月~6月までの穢れを祓う『夏越の祓』は、6月30日に行われます。また、『水無月(みなづき)の祓い』と呼ばれることもあります。
また12月31日に行われる『年越の祓(としこしのはらえ)』は、7月~12月までの穢れを祓います
※神社や地域によっては、旧暦や他の日に行われることがありますのでご確認ください。
今日でも夏越も年越の祓いも行われている神社もありますが、大晦日の神社は多忙のため、
『夏越の祓』だけを行う神社が多いです。
穢れを祓うための作法は2つです。
- 茅の輪くぐり 大きな輪を左足から左右に3回くぐることで、茅の輪に穢れを取ってもらい、神前で無病息災を願います。
- 人型(ひとがた)または、形代(かたしろ) 自分や家族の名前と年齢を書き、神社のお祓いの仕方に従い、(紙の人形で体全体を撫で、そのあと3回息を吹きかける)穢れを人形に移し、初穂料と共に神社にお納めします。
茅の輪くぐりの作法は?
神社に大きな輪が建てられているのを見たことがありますか?
その大きな輪を『茅の輪(ちのわ)』と言います。その茅の輪をくぐることが茅の輪くぐりです。
その茅の輪は『茅』はチガヤ(かや)で、イネ科の植物で作られています。その茅を束ねて人が通れるほどの大きな輪を作り、決められた作法でくぐります。
作法は、『茅の輪』の近くに提示してあることが多いです。事前に確認しておきましょう。
【一般的な作法をご紹介します】
- まず、一礼して左足から輪をくぐり、左に回ります。
- 再び一礼し、今度は右足から輪をくぐり、右に回ります。
- また、一礼して左足から輪をくぐり、左に回ります。
- 最後に一礼してそのまま輪をくぐり、神前に進みます。
- そのあとは、いつも通りにお参りして下さい。
文字にすると難しく感じるかもしれませんが、「まずは左足から進む。そして、左足から入ったら、左に回る。右足から入ったら、右に回る。左・右・左と3回輪をくぐり、お参りします」
神社によっては、「水無月の夏越の祓いする人は千歳(ちとせ)の命のぶというなり」という詞を3回唱えながら、茅の輪くぐりをする神社もあります。
「六月に夏越の大祓をした人は、寿命が延びると言われている」 という意味です。
穢れを祓ってくれるだけでなく、寿命まで延びるのは嬉しいですね。
この唱え詞は、『茅の輪くぐり』の由来を詞にしたものです。その由来である神話をご紹介します。
『備後国風土記』に記されていた神話が由来です。
旅をしていた武塔神(むとうのかみ)、素戔嗚尊(すさおうのみこと)がある村で1泊しようと宿を請いました。裕福な兄巨旦将来は断りましたが、貧しい生活だったにもかかわらず弟の蘇民将来は、快く応じ、「粟飯」などで丁寧にもてなしました。その善意に感謝した素戔嗚尊は、お礼に病気や厄災から身を守る小さな輪を「腰につけるように」と、与えました。後に村で疫病が流行したときに、『茅の輪』をもらった蘇民将来一族だけが生き延べられたと伝えられています。
その後江戸時代に、人が通れるくらいの大きな『茅の輪』をくぐる神事に変化したと言われています。
人形(ひとがた)・形代(かたしろ)とは?
人形(ひとがた)と形代(かたしろ)は、ほぼ同じものです。今回は、人形で統一します。
人形は主に神社で神主などが神事や祈祷の時に使う道具の1つで、紙製で、人形の形を
しています。現在では、車の形や動物の形などをしているものもあります。
【人形の一般的な作法】
- 神社で人形を頂きます。
- 人形に自分の名前と年齢を書きます。
- 人形を手に持ち、全身をなでます。自分の穢れを人形に移すイメージです。
- 人形に息を3回吹きかけます。体を内側の穢れを吐き出すイメージで息を吐きます。
- 神社で頂いた封筒などに納め、住所や名前などの必要事項を記入します。
- 人形と初穂料を一緒に神社に納めます。
人形で自分の体を撫でることで体の外側の穢れを、息を吹きかけることで体の内側の穢れを、人形に移すことで、穢れを身体から取り出します。
お祓いですので初穂料は必要となります。神社により異なりますが、500円~5000円以上で、幅があるように感じました。 初穂料が明記していない場合は、お気持ちを納めます。
茅の輪守り(茅の輪飾り)が授与されることが多いですが、金額が数種類ある場合は、金額によって授与品は変わるようです。
※初穂料とは、神様にお供えするお金です。その昔は、その年に初めて収穫した稲穂を神様にお供えしたことから、神様にお供えするお金を初穂料と呼ばれるようになりました。
神社に納めた人形は、神社で川や海に流したり、お焚き上げしたりなどしてお祓いして頂けます。
頂いたお札や茅の輪守りはどうする? いつまで飾る?
頂いた茅の輪守り(茅の輪飾り)、お札などの授与品ですが、基本的には神棚に飾ります。
神棚がない場合は、玄関やお札は目線より高い場所に飾るといいです。
飾る期間ですが、『年越しの祓』で、茅の輪を頂いた場合はその時に交換します。来年また『夏越の祓』で頂いたときに交換すると良いようです。
交換した後の茅の輪守りは、神社に持っていきましょう。
まとめ
『夏越の祓』は、新年に初詣に行ってからの半年間、頑張った自分のストレスや知らず知らずに溜まった心の疲れなどを、神社に行って祓い、清めてこれから半年間の無病息災を願うものです。
無病息災の『息』は、留めることで、「災いが起こらないように留めておく」と言う意味です。
茅の輪は、神社によっては6月中旬から7月の前半の夏詣の頃まで、建ててある所もありますので、見かけたら、茅の輪をくぐって穢れを祓って下さいね。
人形も都合のいい時に神社で頂いて、「夏越の祓式」に間に合うように持参しましょう。最近では、郵送を受け付けている所もありますので、興味があればHPなどで確認してみて下さい。
『夏越の祓』は、大人から子供まで自由に参加できる神事です。小さいお子様がひとりで人形に名前を書けたら素敵です。毎年成長を感じられるかもしれませんね。
半年間の無病息災を願う風習を大切にしたいですね。
『夏越ごはん』・『水無月』・『夏越の祓いが出来る神社』も読んで頂ければ嬉しいです。
最後まで、読んで下さりありがとうございました。
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