こんにちは、名越凜です。
このブログは、四季折々にある日本の行事や日々の生活を愉しむコツをご紹介していきます。
私は、四季の行事など全く興味がありませんでした。それでも、何も支障はなかったのですが、結婚した後、子供の成長と共に色々なことを経験するたびに自分が何も知らないことを実感しました。このままでは、どれが正解なのかわからない。子供にきちんと教えることも出来ない。親として情けないと思い、少しずつ勉強を始めました。私が知らなかったように、もし知りたいと思っている人のきっかけになればいいなと思います。四季折々の日本の行事を愉しみましょう。
今回は、『月』についてです。
月の満ち欠けの名前
『月』は感謝と祈りの対象でした。
『月』では、「うさぎが餅をついている」というのは、諸説ありますが「うさぎがお腹をすかせた老人に自分の身を投じて食べてもらおうとした」という仏教の説話が由来とも言われています。
ちなみに、月の中にいるのは、日本ではウサギですが、ドイツでは「「薪をかつぐ男」、ヨーロッパでは「おばあさん」だそうです。
『月』の満ち欠けの名前をご紹介します。
- 新月 地球と太陽のちょうど中間に月が来た日で、別名「朔(さく)」といい、新月は、地球からは見えません。
- 三日月 眉のように細いので「眉月」とも言われます。他にも、「若月」・「初月(ういづき)」
- 上弦の月 じょうげんのつき。8日目の月。右半分が見えます。別名「弓張月(ゆめはりつき)」・「半月」と言われます。
- 十三夜 13日目の月。十五夜に次いで美しいと言われています。
- 古望月 こもちづき。満月の前日の夜。別名「待宵月(まつよいづき)」・「幾望(きぼう)」
- 十五夜 太陽とちょうど反対側に日が来る 満月「望月」
- 十六夜 いざよい。 いざよいは「ためらい」の意味です。「十五夜よりもやや遅れてためらって昇るため」と言われます。
- 立待月 たちまちづき。「月が出るのをいつかいつかと待つうちに出てくる月」という意味
- 居待月 いまちつき。18日目の月。立待月に対して、日の出が遅くなるので、座って待つようにという意味です。
- 寝待月 ねまちつき。19日目の月 居待月よりさらに月の出が遅くなるので、「寝て待つ」という意味です。別名「臥待月(ふしまちつき)」
- 更待月 ふけまつつき。20日目の月 夜が更えてから、昇る月の意味。亥の刻頃になるので、「亥中月(いなかつき)」とも言います。
- 下弦の月 23日目の月 左半分が見える上弦の月と同様に、別名「弓張月(ゆめはりつき)」・「半月」と言われます。
- 下弦の後の三日月 26~27日目の月。別名「有名月(ありあけのつき)」とも呼ばれます。
月の満ち欠けの名前は、日本の文化と日本語の美しさを感じます。
月の名前
月を愛でることは、平安貴族たちにとって優雅な遊びの1つでした。その時代からさまざまな月の名前が生まれました。
- 初月(はつづき) その日の初めに見える月のこと
- 寒月(かんげつ) 冬の寒い夜の月
- 風月(ふうげつ) 心地よい風と月
- 暁月夜(あかつきづきよ) 夜明けに出ている月
- 宵闇(よいやみ) 日が暮れてすぐ月が出ていなくて暗いこと
- 有明の月(ありあけのつき) 夜明けの残っている月
- 佳月(かげつ) めでたい月
- 湖月(こげつ) 湖に映った月
- 秋月(しゅうげつ) 秋の夜の月
- 霽月(せいげつ) 雨がやんだあとの月
- 淡月(たんげつ) 淡い光の月
- 月の剣(つきのつるぎ) 三日月のこと
- 薄月(うすづき) 薄雲のかかった月
- 無月(むつき) 曇りや雨で目が見えないこと
- 上弦の月(じょうげんのつき) 新月のあと、次第に満ちていく月
- 下弦の月(かげんのつき) 満月が過ぎて下半月が欠けていく月
- 宵月(よいつき) 夕暮れの間だけ出ている月
- 二日月(ふつかづき)日が沈んだあとに浮かぶ、糸のように見えることがある細い月。別名「繊月(せんげつ)」とも呼ばれます。(旧暦2日の月)
- 孤月(こげつ) もの寂しくみえる月
- 淡月(たんげつ) 薄くかすんだ月
- 青月(せいげつ) 青白く見える月
- 明月(めいげつ)・朗月(ろうげつ)・皓月(こうげつ)・素月(そげつ) 清く澄みわたった月
- 夕月(ゆうづき) 夕方にみえる月
- 黄昏月(たそがれづき) 黄昏どきの月
- 残月(ざんげつ)・有明の月・朝行く月 夜明けにまだ残っている月
- 春月(しゅんげつ)春の月
- 夏月(かげつ) 夏の月
- 秋月(しゅうげつ) 秋の月
- 冬月(とうげつ) 冬の月
また、「月映し(つきうつし)」は、 9月の極上の月を緑色のどんぶりに満たしたお酒に月を映すことです。
緑色は、甦りや再生、安らぎのエネルギーがあります。
十五夜と十三夜
今年の『中秋の名月』は、9月17日でしたが、2024年の「十三夜」は10月15日です。
『十五夜』は月の神様に豊作を願いますが、「十三夜」では稲作の収穫を終える地域も多いことから、秋の収穫に感謝しながら美しい月を愛でる習慣があります。
旧暦は、毎月新月から数えます。 新月から数えて、14日目~17日目が満月です。 『十五夜』は新月から数えて15日目なので満月、もしくは満月に近い月です
『中秋の名月』は年に一回だけですが、『十五夜』は、毎月見られます。旧暦の秋(7月・8月・9月)の真ん中にあることから、旧暦の8月15日の満月のことを『中秋の名月』といいます。
この時の満月が、1年中で一番美しいお月様と言われています。
「十三夜」は新月から数えて13日目なので、満月には少し欠ける月です。 「十三夜」は、『十五夜』の次に美しいとされています。
「十三夜」のお月見の起源については、諸説あります。 中でも、平安時代に醍醐天皇が月見の宴を催し、詩歌を楽しんだのが始まりではないかという説が有力です。
また、平安時代後期の書物に「明月の宴(めいげつのうたげ)」が催されたことが記され、宇多天皇が「今夜の名月は並ぶものがないほど優れている」という意味の詩を詠んだとの記述も残されています。
『十五夜』も「十三夜」も、お月見を楽しむことをとても大切にされていました。
どちらか一方の月しか見ないことを「片見月(かたみつき)」または「片月見(かたつきみ)」と呼びます。片月見は縁起の悪いこととされ、災いが来ると忌み嫌われていました。
『十五夜』と「十三夜」を合わせて見る「二夜の月(ふたよのつき)」を大切にされていました。
現在では、「明月の宴(めいげつのうたげ)」は、京都府の勝竜寺城公園で開催される秋の風物詩となるイベントで、『中秋の名月』を愛でながら伝統芸能を鑑賞できます。
勝竜寺城公園は、”明智光秀”とその娘”細川ガラシャ”ゆかりの地のひとつとして、知られています。
まとめ
左京大夫顕輔(さきょうのだいぶあきすけ)が、『中秋の名月』を詠んでいます。
秋風に たなびく雲の 絶え間より
もれ出づる月の 影のさやけさ
左京大夫顕輔(さきょうのだいぶあきすけ)
<訳> 秋風に吹かれて横に長くひき流れる雲の切れ目から、洩れてくる月の光の、澄みきった美しさといったらなんとすばらしいのでしょう。
美しい歌ですね。他にも和歌や短歌、俳句など月をテーマにしたものが、たくさん詠まれています。
今年の大河ドラマ「光る君へ」にも印象的な月がよく出てきますね。平安時代にも同じ月を見ていたのかと思うと、感慨深いです。
平安時代にはわからなかった『月』の大きさは、地球の4分の1程で質量は地球の81分の1です。
『月』は、太陽系の惑星を周回する衛星のうち5番目に大きい衛星です。 地球をサッカーボールとすると、『月』はテニスボールくらいの大きさだそうです。
長い歴史の中で、月には多くの名前が生まれました。美しい『中秋の名月』もいいですが、季節ごとの月やさまざまな月の表情や形を改めて見るのもいいですね。
皆さんもご一緒にいかがですか?
『十五夜』については、こちらをご覧くださいね。
最後まで読んで下さりありがとうございました。
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