「山開き」は、入山を許す日です。

季節の行事

こんにちは。名越凜です。

このブログは、四季折々にある日本の行事や日々の生活を愉しむコツをご紹介しています。

私は、四季の行事など全く興味がありませんでした。それでも、何も支障はなかったのですが、結婚した後、子供の成長と共に色々なことを経験するたびに自分が何も知らないことを実感しました。このままでは、どれが正解なのかわからない。子供にきちんと教えることも出来ない。親として情けないと思い、少しずつ勉強を始めました。私が知らなかったように、もし知りたいと思っている人のきっかけになればいいなと思います。四季折々の日本の行事を愉しみましょう。

今回は、『山開き・海開き・川開きの日』です。

山開き

多くの山・川・海で7月1日に安全を祈り、許す行事が行われます。いよいよ夏、自然と触れられるシーズンの到来です。

国土の70%以上を山地が占める日本では、古くから山は神聖な場所でした。そのため、むやみに立ち入ることが出来ませんでした。

しかし、神様や仏様にお参りしたいという庶民の願いから江戸時代には夏の一定期間「山を開く=登山を許す」ことが許されました。これが山開きの起源です。 

山開き』は、夏登山が始まる日です。 7月1日と7月10日に浅間神社で「開山の神事」が行われます。閉山は富士山と白山は9月10日、立山は9月30日です。

浅間信仰の核となる浅間神社は、富士山の神霊として考えられている浅間大神を祀る神社です。

日本にはたくさんの山がありますが、代表的なもので言えば、日本三大名山でしょうか。 日本三大名山といれば、富士山(山梨県・静岡県)・白山(石川県・岐阜県)・立山(富山県)です。

「万葉集」にこれらの3つの山が詠まれていることから、三大名山と呼ばれるようになりました。その三大名山では、どんな山開きがされているのでしょうか。

まず、富士山は、2つの山開き日があります。

  • 山梨県側吉田ルートは7月1日に山開きです。山梨県にある北口本宮冨士浅間神社では、山開きの日である7月1日に「富士山開山祭」が行われます。 
  • 静岡の登山道は7月10日に山開きです。静岡側の登山ルートは、富士宮ルート、須走ルート、御殿場ルートの3つです。これらの登山道は7月10日の山開きとなります。 静岡県側では、富士山本宮浅間大社村山浅間神社にて、パレードや禊などが行われます
  • 白山は、7月1日に山開きです。白山比咩神社(はくざんひめ神社)にて、「白山奥宮夏山開山祭」が行われます。
  • 立山は7月1日山開きです。雄山神社(おやま神社)は、7月1日に立山頂上 峰本社で山開きが行われます。

この日を楽しみにされている方も多いですね。暑いので、軽装で登りたくなりますが、山の天気は変わりやすいので、しっかり準備しておきたいですね。安全第一です。

富士山信仰と富士塚

山は、山そのものを神聖なものとする山岳信仰から霊的な力をつける修行の場所とされていました。

山は、庶民には立ち入ることが出来ない神聖な場所でしたが、江戸時代に一定期間のみ『山開き』がされました。そして、庶民の間で富士詣(ふじもうで)が大流行しました。

しかし、富士山に登るのは大変なことだったので、市中に分霊されて祀られた富士権現に参り、『富士塚』(ふじづか)という人工の富士山に登りました。

特に有名なのが、浅草の富士浅間神社(東京都・台東区)と、駒込富士神社(東京都・文京区)などが有名です。今でも例大祭が7月1日の「山開き」に行われ、縁日や植木市などが行われます。

登拝といい、富士山の御神徳を拝しながら登山することを大切にされていました。

都内にも、たくさんの富士塚があります。富士塚に登ることで、「富士登山をしてお浅間さんにお詣りした」ことになります。授与品として”麦わら蛇”を頂けるところもあります。

江戸時代、富士山の『山開き』には、富士塚へ多くの人が参詣に訪れ、火事の多かった市中では「火防」として、疫病が流行した農村では「疫病除け」として、この蛇を買い求めました。水の守り神として、台所などのできるだけ水道の蛇口に近いところに飾って願ったようです。

夏越の祓で訪れた亀戸浅間神社にも、富士塚はあります。富士塚は、山開きの日にしか見れないところもありますが、こちらの神社では残念ながら登ることは出来ませんが、いつでも見ることが出来ます。

海開き・川開き

海開き』は、海の神様に安全を祈り、その日始めての海水浴を許可することです。

今のような海水浴を楽しむようになったのは明治時代の頃からと言われています。『海開き』は地域によって時期がかなり違います。7月1日に行われる所もありますが、場所やその年によっても違うようです。

沖縄などは、『海開き』はかなり早く3月ごろに行われます。また、旧暦のお盆(8月15日頃)を過ぎたころからはクラゲが繁殖してくるので注意をしましょう。そのため、7月中旬~8月上旬ごろが海水浴のベストシーズンです。海開きと共に、イベントが行われていることが多いです。

ちなみに、海の日(うみのひ)は、日本の国民の祝日の1つで、7月の第3月曜日と定められています。『海開き』とは、違う日なので、ご注意下さい。海の日は、「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」ことを趣旨としているそうです。

川開き』は、水神様に供物をお供えして、夏の水難除けを願い、田植え後に必要な水が恵まれるように『川開きまたは川祭り』が行われます。また、水の事故で亡くなった人を供養する意味を込めても行われます。

川開き』もまた、地域によって、時期が違うのでご注意下さい。また、『川開き』には、花火大会が行われることも多いです。

まとめ

昔は、山、海、川にいる神様のお許しを頂かなければ、入ることは出来ませんでした。だからこそ、多くの山、川、海で安全を祈る行事が行われます。山開き海開き川開きとお祭りが一緒になっていることも多く、それだけ大切な行事だったのですね。

山でよくいう「やまびこ」ですが、漢字で書くと「山彦」と書きます。山の妖怪「山彦」が答えた声とか、山の神が声音をまねるのだと信じられていました。また、「こだま」は、漢字で書くと「木霊」です。木の精霊が答えた声ということでこの漢字が使われます。神秘的ですね。

山や海、川を訪れたら、安全に配慮して、よりよい楽しいレジャーを楽しみたいですね。

最後まで読んで下さりありがとうございました。

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